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算数教育について考えたことを残していきます。


by mhidetoshi

ピアジェの発達段階〜量の保存〜

 さて、今日は「量の保存」について書いてみたいと思います。「量の保存」というと、やはりピアジェです。彼の有名な理論に「思考発達段階説」というものがあります。そこでは、子どもの認識や知的能力は4つの質的に違う段階を経て発達していくというものです。具体的には次の4つの段階です。
 第1期:感覚運動期(0〜2才)
 第2期:前操作期(2〜6・7才)
 第3期:具体的操作期(7〜12才)
 第4期:形式的操作期(12才以降)

 算数の学習が、具体からだんだんと抽象的になっていくことも、このことから理解できます。第2期と第3期の間は小学校の学年でいうと、1年生と2年生です。この点は頭に入れておくと日々の指導にも少し役立つのかなと思いました。また、「数学」になるとぐんと抽象性が高くなることも、この思考発達段階節にも合いますね。ただ、算数—数学の小中接続にはここでは言及しませんが、様々な課題があると思っています。

 さて話をもどしましょう。ここでの第2期「前操作期」と第3期「具体操作期」の重要な概念こそが、「保存」の概念になるのです。保存の概念とは、「ものの数量は、その形が変わっても同じままである」というものです。例えば「量の保存」は、算数教育指導用語辞典(第四版)によると『3Lの水はどんな容器に移しても3Lであり、幾つかの容器に分けて入れても、その総量は3Lであり、量の大きさは増えたり、減ったりしない。量には移しても、分けても、形を変えても、全体の大きさは変わらないという性質がある。』と書いています。ピアジェはこの保存概念については、第3期の具体的操作期になると獲得できると考えたようです。
 ということで、5才2ヶ月の息子(前操作期)と2才11ヶ月の娘にテストをしてみました。

まずは、2つのコップに同量の水を入れ、尋ねます。
「どっちの方がたくさん水が入ってるかな?それとも同じかな?」
ピアジェの発達段階〜量の保存〜_c0296067_2330331.jpg

じっくり見た後、「同じ!」と答えました。
うんうん。OKです。一応、このように付け足しておきました。
「ということは、りょうまはどちらの水でもいいってことだね?」「うん。」
水の高さを聞かれているのではなく、水の量について聞かれていて、それが同じであるという認識をしているということを確認した後、1つのコップの水を、別のコップに移し替えて、再び尋ねます。
「今度はどちらの水の方が多い?それとも同じかな?」
ピアジェの発達段階〜量の保存〜_c0296067_23314182.jpg

すると、水の高さが高い方を選びました。「なんでこっちなの?」と尋ねると
「だって、こっちの方が多いから。」と答えます。
「じゃあ、どちらの水かほしい?」と再度確認しても、やはりはじめ選んだ方を選びました。ということは、量の保存についての概念はまだ獲得されていないということです。

水が形を変えるとどうなるかもやってみましたが、やはり保存の概念は獲得されていませんでした。ぺしゃんこになった袋を見て「水が減った」という認識をしています。
ピアジェの発達段階〜量の保存〜_c0296067_23321213.jpg

「これは同じ量なんだよ。」と実演をして説明しましたが、どうも腑に落ちない様子でした。そして、結局は袋をぺたぺたとして遊ぶことに夢中になって終了です。まだまだ発達の過程という感じでかわいいもんです。
by mhidetoshi | 2013-07-04 23:37 | 毎日さんすう