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算数教育について考えたことを残していきます。


by mhidetoshi

数感覚2

前回に引き続き、数感覚について書いてみたいと思います。

数感覚はよくナンバーセンスといわれます。
正確には「ナンバーセンスをよく数感覚と訳す」と書いた方がよさそうですね。
この数感覚について、
NCTM( National Council of Teachers of Mathematics:全米数学教師協議会)
では、
『数の関係の直観には、数感覚が必要である。』
とあり、数感覚の重要性が述べられています。
ここでは、数感覚についていくつか述べられていて、例えば

①数の意味をよく理解している、②数の間の様々な関係を発達させている
③数の相対的な大きさをわかっている 
④数に関する演算の相対的な効果をわかっている

などが書かれています。

個人的には、上記のそれぞれの意味においても
発達段階に応じた違いがあると思います。
例えば、①の「数の意味」といわれても、5歳にとっての数の意味は、
5という数唱が、何か5つのものが存在していることを指すことや、
5番目という順序を表すことなどの意味でしょうし、
高学年になってくると5は奇数であるという意味になってくるのだと
思います。そう考えると、数感覚は小さいうちから、
ずっと育てていかなければならないものだと考えられます。

また③も大切だと思います。
我が子(5歳)にとって大きな数といえば、なぜか「117」です。
これはきっと、数唱がもとになっているのでしょう。
つまり、1から100まで数える経験が、
「100って大変…」という経験としてあり、
「大きい数=100」になるのだと思います。
数感覚2_c0296067_16564858.jpg

3年生になると、「万」や「億」をならいます。
これに関して、学習指導要領解説算数編を見ると、p88に
「万の単位の指導に際しては、1万という数の大きさについて
実感的にとらえられるようにすることが大切である。」と書かれており、
1万を「1000が10個集まった大きさ」「9999より1大きい」
「5000と5000」「100の100倍」など
多面的な見方ができるようにする、とあり、
さらに「数の大きさについての感覚を豊かにすることが大切」と
述べられています。

さて次は、群馬大学教授の江森先生の「数感覚」についての見方を
まとめてみたいと思います。
江森先生は、
「センスは感覚と訳されるけど、センス=感覚ではない。」
と述べておられます。
たしかに「計算のセンスがよい」とは言っても、「計算の感覚がよい」とは
あまり言いません。
また、そこから「感覚は伝えられないけど、センスは伝えられる」とも
述べておられます。

そしてこのナンバーセンスについて、次の3つにまとめています。
(1)ナンバーセンスの瞬発力
   瞬間的な場面でナンバーセンスが働く能力
(2)ナンバーセンスの創造力
   同一の観点からストラテジーを発展することや
   他の観点からもストラテジーを構成する能力
(3)ナンバーセンスの適応力
   数や式に関する新しい知識をすぐに定着させ、使ったり利用できる能力

上記(1)を見て思い出した問題があります。次のような問題です。
いわゆる「小町算」と呼ばれるような問題です。

「□の中に、加減乗除の記号(+−×÷)を入れて、数式を完成させよ。
 ① 9□9□9□9=2
 ② (9□9□9)□9=3
 ③ (9□9□9)□9=10

これをぱっとできる力、これはまさに「ナンバーセンスの瞬発力」
ではないでしょうか。
これを考えても、前回記述した「数を分解・合成できる力」は
大切だと思います。(10を2と8と見ることができる等)
数感覚2_c0296067_170173.jpg

最後に、『算数教育指導用語辞典』にのっている数感覚について
引用して終わりたいと思います。

「数に対する感覚については、①位取り記数法、数の分解・合成、
数の大小・相等などの感覚、②数の相対的な大きさの感覚、③計算の性質、
結果を概数で見積もる感覚、④日常用いられる数の感覚などがあげられる。
このような感覚を育てるためには、見積もりの重視や、日常生活のなかで
数の感覚を育成することの重要性が指摘されている。」

とあります。内容をみると、NCTMで述べられている内容と似ています。
またここで大事なことは、その育成への示唆だと思います。

例えば授業の中だけでなく、ちょっとした時間を使って
数感覚の育成を図りたいですし、
家庭の中でもその育成を図ることが大切だと思います。
日常生活の中で数感覚を育成するためには、
買い物を実際にさせることも大切なことだと思います。
(これについては、また次回…)

今日の写真は算数ではありませんが、最近意識していることで
「一緒に勉強しよう」と声をかけることをしているので、
それに関係する写真です。

これ…効果抜群です!!
「勉強しなさい!」ではなく、「一緒に勉強しよう!」
使えますよ、これ!!
娘はよころんで「おべんちょうする〜!」と言ってます(^^)
by mhidetoshi | 2013-09-01 17:20 | その他